<第16回>フロン回収破壊法について
2018.11.05
※今回ご紹介する内容は平成30年11月5日現在の現行法令である 「フロン類の使用の合理化及び管理の適正化に関する法律」(通称:フロン排出抑制法)の前身である「フロン回収破壊法」の成り立ちに関するものであり、現行法令について解説するものでないことをご承知ください。 現行法令に関する詳細は環境省HPよりご確認頂けます。(http://www.env.go.jp/earth/ozone/cfc/law/kaisei_h27/)
フロン(フルオロカーボン)とはフッ素(F)と炭素(C)の化合物の総称で、エアコンや冷蔵庫などの冷媒として広く利用されてきました。フロンは化学的に安定した物質のため分解されにくく、大気中に放出されると成層圏まで達し、そこで紫外線によって分解されます。この時に生じた物質がオゾン層を破壊することがわかり問題になりました。また、フロンは二酸化炭素と同じく温室効果ガスの一つでもあります。その温室効果は二酸化炭素の数百倍以上と言われています。このようにフロンは地球に対して危険な影響を与えるため、製造業等においてはその使用を制限されています。そしてすべてのフロンを回収するために「特定製品に係るフロン類の回収及び破壊の実施の確保等に関する法律」(通称:フロン回収破壊法)が制定されました。家電リサイクル法が家庭用のエアコン・冷蔵庫などに限定して対応するのに対して、フロン回収破壊法では業務用のエアコンや冷蔵庫、すべてのフロン使用製品が対象となります。家電リサイクル法とフロン回収破壊法により、フロンを排出しない仕組みが作られています。しかしながら当初のフロン回収破壊法は、対象製品を廃棄物として処分するときのみを規制する物であり、廃棄時以外の場面で多量に排出されるフロンが問題となっておりました。そこで適用対象の拡大、フロン回収工程管理票の導入、建物解体元請業者への新たな義務を主なポイントとして2007年に、下記のように法の改正が行われました。
1.対象の拡大について
廃棄物として処分する時にのみフロン回収破壊法の適用対象となっていましたが、スクラップを有価物として売却するときや、フロンを抜いて行うメンテナンスの時などにも拡大されました。
2.フロン回収工程管理票の導入について
産業廃棄物のマニフェストと同様にフロン回収の流れを管理する「フロン回収工程管理票」が導入されました。
3.建物解体元請業者への新たな義務のついて
解体工事を受注した元請業者は解体する建物に対象となる機器があるかを確認し、発注者に書面で報告しなければなりません。対象となる機器がある場合、報告を受けた発注者はフロン回収工程管理票を交付する義務があります。
改正内容によってフロン回収に関わる環境はより適正なものとなったかに見えましたが、温室効果の高い代替フロンの急増、低い回収率、使用中の機器からの漏えいなど、新たな課題が明るみになりました。現在は平成25年6月の法改正により、名称を「フロン類の使用の合理化及び管理の適正化に関する法律」(通称:フロン排出抑制法)に改め、平成27年4月1日に施行されています。