産廃豆知識

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<第10回>木くずについて

2018.01.05

産業廃棄物の指定20品目の中に木くずという品目があります。
今回はその木くずについて例を挙げてわかりやすくお話します。
ガーデニングをやっていると木の枝が伸び不格好なので、枝を切って高さをそろえたり、見栄えを良くしたりすることがありますよね?
木の生育や樹形の管理のために切りそろえられた枝の切りくずのことを剪定枝と呼びます。請負で築庭、庭園の植樹、花壇の手入れなどを行う造園業は「園芸サービス業」に該当するため、この時に生じた木の剪定くずは一般廃棄物として処理します。しかし、建築物の屋上、壁面等を緑化や植生を復元、樹木、芝生、草花等の植物を育成などを行う「造園工事業」に該当する建設工事では、それによって生じた木の剪定くずは産業廃棄物となります。
廃棄物処理法第2条第4項によると、産業廃棄物における”木くず”とは…
① 建設業に係るもの(工作物の新築、改築又は除去に伴って生じたものに限る。)
② 木材又は木製品の製造業(家具の製造業を含む)、パルプ製造業、輸入木材の卸売業及び物品賃貸業に係るもの
③ 物の流通のために使用したパレット(パレットへの貨物の積み付けのために使用した梱包用の木材を含む)に係るもの
④ ポリ塩化ビフェニル(以下:PCB)が染み込んだもの
とされています。
紙くず、木くず、繊維くず、動植物性残さ、動物系固形不要物、動物のふん尿、動物の死体の7種類の産業廃棄物については、発生元となる対象業種が定められ、これを業種指定のある産業廃棄物と呼称します。
廃棄物処理法で定められた特定の業種から特定の種類の廃棄物が排出された場合にのみ産業廃棄物として扱い、それ以外の廃棄物は一般廃棄物として扱います。
例えば、家屋の解体工事で発生した柱などは建設・解体といった対象業種から排出されるため、産業廃棄物の木くずに該当します。これに対し、喫茶店や食堂などの飲食店で使用していた木のイスを廃棄する場合、飲食店は建設業や木材・木製品製造業等ではありませんので、対象業種に該当しないため、同じ木くずでも産業廃棄物ではなく一般廃棄物として処理をする必要があります。
また、上記の④に書かれているPCBが染み込んだものについては、PCBが塩素(chlorine)を含んでいるため、これの不完全燃焼によって有害であるダイオキシン類が発生してしまいます。また、PCBは生体に対する毒性が高く、脂肪組織に蓄積しやすく、発癌性があり、また皮膚障害、内臓障害、ホルモン異常を引き起こすことが分かっており、人体に甚大な悪影響を及ぼす化合物です。PCBが染み込んだ又は塗布された木くずは一般産業廃棄物ではなく、特別管理産業廃棄物の特定有害産業廃棄物に分類され、必要な処理基準を設け、通常の廃棄物よりも厳しい規制を行い、他の木くずとは扱いが異なるといった点が有ります。
このように産業廃棄物か一般廃棄物かの判断は単純に品目と業種だけでなく、排出される状況も関係します。

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