産廃豆知識

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<第9回>「発注者責任」について

2017.12.01

前回の「元請責任」に続き今回は工事自体を注文する発注者に関わる「発注者責任」についてのお話です。

 

様々な発注者責任がある中、建設工事を発注するにあたり必ず直面するのが産業廃棄物の処理に関する責任です。工事を業者に発注する以上、その工事で発生する産業廃棄物は、排出事業者である元請業者に責任があるのではないかと思われるかもしれません。確かに前回でも述べたように排出事業者に処理責任はあります。

 

平成23年3月に環境省から出されています 「建設工事から生ずる廃棄物の適正処理について(通知)」においては、排出事業者としての役割を履行するため、「廃棄物の処理の結果を発注者に報告すること」とされており、発注者は産業廃棄物が適正に処理されたことを確認しなければならないことが明記されています。

 

工事を発注したのだから、後は元請業者にすべてを任せればよい。という考え方はすでにひと昔前のものとなり、現在は元請業者を選定するのは発注者自身であるため、その選定の責任が発注者責任である。ということになります。これは戸建て住宅を発注する場合にも当てはまります。

また、石綿が使用されている建築物等の解体工事においても、発注者の責任が明確にされています。具体的には石綿作業の届出者の名前に発注者名を使用することにより、責任の所在を明確にし、発注者自身にも「発注者責任」を認識してもらうことを目的の一つとしています。また、石綿の事前調査に対する協力や、適切な工期・費用で契約するなどの発注者の役割も明記されています。

 

上記以外にも発注者責任がありますが、発注者自身が建設工事に関与することは現実的に難しいかもしれません。

だからこそ元請業者選定の際には、適正価格で発注するのはもちろんのこと、信頼のおける業者に発注することが、発注者責任のリスクを軽減させることにつながるのではないでしょうか。

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